先取の気風か、気遣いの順守か

先取の気風か、気遣いの順守か
先取の気風か、気遣いの順守か

昨今の新刊書籍は、

紙と電子書籍、同時に発売されることが多い。

出版社としても、

従来の紙の出版を重視したい一方で、

電子書籍の趨勢も無視できないのだと思う。

そんな時期を迎えている今、

日本の出版社において、特徴的な傾向持つのが、

講談社とKADOKAWAである。

表題に先取の気風と書いたが、

講談社における

紙と電子書籍同時出版の場合、

電子書籍版の書影を先に出して、

紙版の書影が後に紹介されることが

少しずつ見受けられるようになった。

もしかしたら、

電子書籍の予約や販売具合から、

紙版の初回印刷数を押し測ろうとしているのかもしれない。

対するKADOKAWAは、

特に文庫版の場合、

紙版の書影は先に出すけれど、

電子書籍版の書影は、

発売日直前にしか出さない、

ということが多い。

文庫版だからということもあるのかもしれないが、

この施策は、

販社や書店など、従来の書籍流通に対する

一種の気遣いのようなものにも感じられる。

どちらの出版社が正解なのかと

言いたいのではない。

何故、そのようにしているのか、

取材した訳ではないが、

こうした違いに、

ある種、それぞれの出版社の矜持のようなものが、

滲み出ている気がしてならない。

この先、どちらがメインストリームになって行くのか、

両出版社の動向と、

それに追随する他の出版社の動きから、

目が離せない。